「新技術・新開発」カテゴリーアーカイブ

日立造船 中国で脱炭素型リン回収プラントが完成

日立造船(本社:大阪市住之江区)は9月21日、国際協力機構(JICA)中国事務所と中国科学技術部が共同で実施する21年度日中連携事業で、中国遼寧省瀋陽市で建設を進めていた農畜産廃棄物からのリン回収実証プラントが完成したと発表した。
同日中連携事業は、中国における「環境(省エネルギーを含む)」「医療」「防災」の課題解決に貢献できる技術を有する日系企業と中国側パートナーが協力し、実証実験などを通じて中国における産業化を目指すとともに、日系企業のビジネス展開の促進を目的とするもの。
日立造船は、畜ふんを炭化してリンを回収するためのエネルギーを自立型炭化システム「EFCaR(エフカル)システム」を活用した農畜産廃棄物処理の実証事業を2024年度まで行う。
今回の実証事業では処理量4.8万トン/日の実証設備を建設し、EFCaRシステムの個別効果の検証や将来的な事業化を念頭に置いた現地導入体制、サプライチェーン等の実現可能性の確認などを目指す。

塩野義 コロナ飲み薬で韓国企業とライセンス契約

塩野義製薬(本社:大阪市中央区)は9月16日、開発を進めている新型コロナウイルス感染症の飲み薬について、中国企業との合弁企業、平安塩野義(香港)有限公司(本社:中国・香港)と韓国の製薬大手Ildong Pharmaceutical Co.,Ltd.(本社:韓国・ソウル、イルドン ファーマシューティカルス)との間で、韓国における新型コロナウイルスの飲み薬の緊急使用許可申請および政府購入交渉に関するサブライセンス契約を締結したと発表した。イルドン社は韓国政府との販売交渉も担い、同国向け製造を担当する可能性もある。
塩野義製薬は同飲み薬について、中国当局に承認に向けたデータを提出しているほか、米国にも近く最終段階の臨床試験を始める。

IHI SAFの合成技術でシンガポールISCE2と共同研究

IHI(本社:東京都江東区)は9月15日、持続可能な航空燃料SAF(Sustainable Aviation Fuel)の合成技術に関して、シンガポール科学技術研究庁の傘下の研究機関、ISCE2(Institute of Sustainability for Chemicals,Energy and Environment )と共同研究を開始したと発表した。
今回の共同研究ではIHIとISCE2が保有する触媒技術を活用して、CO2と水素からSAFの原料となる液体炭化水素を効率良く合成できる技術の開発を進める。

日本製紙,三井化 セルロース配合コンポジット開発で連携

日本製紙(本社:東京都千代田区)と三井化学(本社:東京都港区)は9月8日、木質バイオマス素材「セルロースパウダー」を高配合した新規バイオコンポジットの開発で連携すると発表した。日用品、容器、建材、家電製品、自動車部材など幅広い分野への展開を目指し、製品開発と早期の市場投入を計画している。

理研など光エネルギー再充電可能なサイボーグ昆虫開発

理化学研究所(理研)、早稲田大学、シンガポール南洋理工大学の国際共同研究グループは9月5日、光エネルギーで再充電可能な電源ユニットを含む電子部品を搭載したサイボーグ昆虫を開発したと発表した。昆虫の寿命が続く限り、電池切れを心配することなく、サイボーグ昆虫の長時間かつ長距離の活動が可能という。
今回同グループは厚さ4マイクロメートル(1マイクロメートルは1,000分の1ミリメートル)の柔軟な超薄型有機太陽電池を、接着剤領域と非接着剤領域を交互に配置する”飛び石構造”で昆虫の腹部背側に貼り付け、再充電と無線通信が可能なサイボーグ昆虫を実現。サイボーグ昆虫に実装した有機太陽電池モジュールは17.2ミリワットの出力を達成し、リチウムポリマー電池を充電し、無線移動制御モジュールを操作することができたとしている。
これらの研究は科学雑誌『npi Flexible Electronics』オンライン版(9月5日付)に掲載される。

三井化学.帝人 プラスチックのバイオマス化実現する製品展開へ

三井化学(本社:東京都港区)と帝人(本社:大阪市北区)は8月9日、日本初となるバイオマスビスフェノールA(以下、バイオマスBPA)とバイオマスポリカーボネート樹脂(以下、バイオマスPC樹脂)の市場展開に向けた取り組みを開始すると発表した。
この取り組みは三井化学がISCC PLUS認証(国際持続性カーボン認証)に基づいたマスバランス方式を用いてバイオマスBPAの市場供給を開始することに伴い、帝人が同BPAを用いて同方式によるバイオマスPC樹脂の開発・生産を開始するもの。

クラボウと東大 3Dプリンティング技術で共同研究

クラボウ(本社:大阪市中央区)と東京大学(所在地:東京都文京区)は7月13日、建設業界で問題となっている人手不足や生産性向上という課題解決を視野に、3Dプリンティング技術で共同研究を推進する。両者が4月に交わした共同研究契約に基づき進めている建設用3Dプリンティング技術で、産学連携によるメタマテリアル技術をセメント系材料で確立することを目指すと発表した。
7月から実際に建設用3Dプリンターを用いた造形物を製作するなど取り組みを本格化。造形物の内部構造をデザインして、強度や靭性を高めるなど新たな物性を獲得する研究に注力している。

三井化学とJiksak iPS細胞の高効率培養技術を共同開発へ

三井化学(本社:東京都港区)とJiksak Bioengineering(本社:川崎市幸区)、以下、Jiksak)は7月8日、ヒトiPS細胞由来神経組織の実用化に向けて共同研究を開始したと発表した。三井化学の高酸素透過培養容器の技術と、Jiksakが持つ創製に係る技術を融合させ、創薬分野や再生医療分野などで、今後必要とされる神経組織を、より簡便かつ高効率に培養するための実用化技術の開発を目指す。

ユーグレナ,理研 マレーシア泥炭地から耐酸性の新規藻類

ユーグレナ(本社:東京都港区)、理化学研究所微細藻類生産制御技術研究チームは6月27日、マレーシア工科大学、マレーシア日本国際工科院の研究チームとの共同研究により、マレーシアの泥炭地で採取した微細藻類の中から、脂質を生産する耐酸性の新規藻類、テトラスティココッカスの同定・単離に成功したと発表した。
テトラスティココッカスは酸性および弱アルカリ性のpH条件下で高い増殖率を示し、炭素数が16から18の長鎖脂肪酸を多く蓄積することを確認した。
この研究成果は学術雑誌『Journal of Applied Phycology』(2022年5月22日付)に掲載された。

脱炭素へ高炉使わない製鉄法開発へ 水素でCO2削減

日本製鐵、JFEスチール、神戸製鋼所、一般財団法人金属系材料研究開発センターでつくるコンソーシアムは、高炉を使わず、水素を活用して二酸化炭素(CO2)の排出量を削減する製鉄法開発に共同で取り組む。これは国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「グリーンイノベーション基金事業/製鉄プロセスにおける水素活用プロジェクト」に共同応募し、採択されたもの。