「新技術・新開発」カテゴリーアーカイブ

トヨタと出光興産 EV用「全固体電池」の量産化で協業

トヨタ自動車と出光興産は10月12日、電気自動車(EV)向けの次世代電池として期待される「全固体電池」の量産化で協業することで合意したと発表した。両社は2027年度に国内で生産ラインを稼働させ、2027〜2028年に発売するEVに搭載して商品化する。トヨタは、電池材料の製造技術に知見のある出光興産と連携し、充電時間を短くし、航続距離も伸ばせる全固体電池の量産に、世界に先駆け取り組む。

富士通・理研 独自の生成AIに基づく創薬技術を開発 世界に発表

富士通と理化学研究所(以下、理研)は10月10日、生成AIを活用し、大量の電子顕微鏡画像からタンパク質の構造変化を広範囲に予測できるAI創薬技術を2023年1月に開発したと発表した。両者はこの技術に関する論文を2023年10月10日(日本時間)に、医療用画像処理分野のトップ国際会議「MICCAI 2023」で発表した。
両者が創薬の開発期間や費用を劇的に削減する次世代IT創薬技術の開発を目指し、2022年5月から共同研究を進めてきた成果。

京セラ ワイヤレス電力伝送システムを実現する基礎技術を開発

京セラは10月11日、電波(マイクロ波)の放射を集中させる技術(ビームフォーミング技術)と、電波の伝搬環境に応じてリアルタイムに電波放射を追従制御する技術(アダプティブアレー技術)を融合し、5.7GHz帯における「空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム」を実現する基礎技術を開発したと発表した。この技術を電波を介して電力供給するワイヤレス電力伝送システムに適用することにより、スマートフォンやドローンなどの移動体にも安定した電力を伝送できるようになる。
ワイヤレス電力伝送が実用化できれば、電池交換や充電における手間、廃線の制限により設置できなかった機器やデバイスの設置自由度が格段に向上する。

スズキ スカイドライブと「空飛ぶクルマ」で製造協力

スズキ(本社:静岡県浜松市)は10月10日、スタートアップのスカイドライブ(所在地:愛知県豊田市)との間で、静岡県磐田市の工場で「空飛ぶクルマ」を製造することで協力する契約を結んだと発表した。スカイドライブが9月1日付で設立した製造子会社「Sky Works(スカイワークス)」を通じスズキグループが磐田市内に保有する工場で製造する。2024年春の製造開始を目指す。
同工場では、電動の垂直離着陸機(eVTOL=通称「空飛ぶクルマ」)「SKYDRIVE(SD-05型)」が年間で最大100機製造できるという。

米モデルナ コロナとインフル混合ワクチン 初期・中間治験

米国モデルナは10月4日、同社が開発を進める新型コロナウイルスとインフルエンザの混合ワクチンの初期・中間臨床試験(治験)で、安全性と効果が確認できたとする中間報告を発表した。年内にも最終段階の治験を始め、2025年の承認取得を目指す。この治験は50歳以上が対象。メッセンジャーRNA(mRNA)と、英国のグラクソ・スミスクライン社製のインフルエンザワクチンを接種し、免疫反応を調べた。
mRNA技術を使った混合ワクチンは米国ファイザーとドイツのビオンテックも開発を手掛けている。

ペロブスカイト太陽電池 事業化へ技術連携コンソーシアム発足

桐蔭横浜大学発スタートアップのペクセル・テクノロジーズ(所在地:川崎市)と麗光(所在地:京都市、マクニカ、MORESCOの4社は10月4日、次世代型太陽電池「ペロブスカイト太陽電池(PSC)」の国内生産に向けて技術連携コンソーシアムを発足したと発表した。2024年春をめどに試作品を開発し、今後3年以内にPSCの事業化を目指す。同コンソーシアムには三菱ケミカルが技術協力する。
PSCは、国内では積水化学工業、東芝、パナソニックなども実用化を目指しており、政府も量産化を支援する方針を掲げている。

Sierra Spaceなど4社が新宇宙ビジネスで戦略的パートナーシップ

Sierra Space Corporation(所在地:米国コロラド州デンバー、以下、Sierra Space)と、三菱UFJ銀行、兼松、東京海上日動火災保険(以下、東京海上日動)の4社は9月27日、アジア太平洋地域における戦略的パートナーシップ契約を締結し、三菱UFJ銀行、兼松、東京海上日動はSierra Spaceへ出資したと発表した。
これにより4社は本邦の宇宙産業サプライチェーンのさらなる拡大や、地球低軌道の事業化をはじめ新たな産業創出に向けて取り組んでいく。
Sierra Spaceは、まもなく次世代宇宙往還機Dream Chaserによる国際宇宙ステーション(ISS)への補給ミッションを開始するほか、2026年には商用宇宙ステーション”Pathfinder”の打ち上げを予定している。

エーザイ認知症薬 厚労相が正式承認 年内にも医療現場へ

武見敬三厚生労働相は9月25日、エーザイと米国バイオジェンが共同開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」を正式承認した。アルツハイマー病の進行を遅らせる効果を証明した国内初の薬となる。これまでの治療薬が「対症療法」だったのとは異なり、レカネマブは患者の脳内に蓄積する「アミロイドベータ」というたんぱく質を除去するように設計された、病気の原因に働きかけることで病状の進行を抑える。
薬の公定価格である薬価の決定を経て、年内にも医療現場で使えるようになる見込み。すでに7月に正式承認された米国では年2万6,500ドル(約390万円)の高額で提供されており、国内での薬価に注目が集まっている。

東京都市大 変換効率30%に迫る、曲げられる太陽電池を開発

東京都市大学(所在地:東京都世田谷区)の石川亮佑教授らのチームは9月19日、エネルギー変換効率が30%に迫る曲げられる「ペロブスカイト/シリコンタンデム太陽電池」の作製技術を開発したと発表した。
今回開発した作製技術は、ボトムセルであるシリコンヘテロ接合太陽電池のシリコンウエハー厚を83μm程度まで薄くするもの。これによりペロブスカイト/シリコンタンデム太陽電池に、フレキシブル性を付加するとともに、軽量化も達成し、湾曲屋根やビル壁面など従来の太陽電池では設置困難だった場所への設置を可能にする。

大塚製薬 経口タイプの抗がん剤 ECから製造販売承認を取得

大塚製薬は9月19日、成人の急性骨髄性白血病の治療に使われる経口タイプの抗がん剤「イナコビ」について、欧州委員会(EC)から製造販売承認を取得したと発表した。各国で順次販売する。
同社の注射で投与する抗がん剤「ダコジェン」を経口剤にした。がん細胞の増殖を抑制し、機能を回復させる効果がある。注射の投与は通院治療ととなるが、経口剤は在宅治療が可能で、患者の負担が減らせると期待される。