「新技術・新開発」カテゴリーアーカイブ

川崎重工など3社 液化水素運搬船の建造体制構築で協業

川崎重工(神戸本社:神戸市中央区)、今治造船(本社:愛媛県今治市)、ジャパンマリンユナイテッド(本社:横浜市西区)の3社は6月2日、川崎重工が設計・建造する液化水素運搬船の後続船の建造体制構築に向け、共同検討を開始すると発表した。各社が持つ液化水素運搬船建造に必要な設備、人材などのアセットを相互に有効活用する。
液化水素運搬船は、大量の水素を国内に輸送することを可能にし、液化水素サプライチェーンの構築で重要な役割を果たすことが期待されている。

KDDI「スターリンク」活用のドローン運航 年内に実証実験

KDDIは5月29日、年内に米宇宙企業スペースXの衛星通信網「スターリンク」との直接通信を活用して、ドローンを運航する実証実験を行うと発表した。地震など災害時の活用が期待され、2026年3月までの実用化を目指す。
KDDIは10月以降に順次、全国1,000カ所にドローンが離着陸する拠点となる機器を整備する。震災からの復興で包括連携協定を結んでいる石川県から導入を始め、経営に参画しているローソンの店舗や市役所などにドローンを配備する。電線など社会インフラの監視や建設現場の作業確認、災害時の捜索活動などで使用することを想定。スターリンクと直接通信すれば、山間部や離島などでも簡単にドローンを運航できるようになる。

米FDA 富士レビオ系アルツハイマー血液診断キット初承認

米食品医薬品局(FDA)は5月16日、アルツハイマー病を血液で診断する検査キットの販売を初めて承認した。申請したのは、H.U.グループホールディングス傘下の検査薬メーカー、富士レビオ(本社:東京都)の子会社で米国に拠点を置く富士レビオ・ダイアグノスティクス。
今回の承認を受け、富士レビオは6月中の販売を目指す。病気の兆候や症状がある55歳以上が対象。血漿(けっしょう)中の、アミロイドβ(ベータ)など異常なたんぱく質の濃度を測定し、脳内に塊ができているかどうかを判断する。従来の検査法よりも患者の負担を軽減し、病気の早期診断につながることが期待される。

日本製紙 木質由来のCNF使い蓄電部材を開発 脱炭素で

日本製紙(本社:東京都千代田区)は4月22日、木質由来の極細繊維、セルロースナノファイバー(CNF)を使用した蓄電部材を開発したと発表した。レアメタルや有機溶媒を使用しないため、材料の安定調達や製造時の二酸化炭素(CO2)削減に役立つ。
シート状にしたCNFを電極で挟み直接蓄電する。パルプを化学処理することで、従来10ナノメートル(ナノは10億分の1)あった繊維幅を、2〜4ナノメートルほどまで薄くし電気抵抗を減らした。実用化に向けた性能評価を進め、2030年までにウエアラブル端末や小型のIoTセンサーなどへの適用を目指す。

富士通, 理研 世界最大級256量子ビット超伝導コンピュータ

富士通と国立研究開発法人 理化学研究所は4月22日、新たに開発した高密度実装技術により世界最大級となる256量子ビット超伝導量子コンピュータを開発したと発表した。両者はこの最先端量子コンピュータを、ハイブリッド量子コンピューティングプラットフォームを通じて、2025年中第一四半期中に企業や研究機関に向けて提供を開始する。
ハイブリッドプラットフォームの計算能力が64量子ビットから256量子ビットへ4倍に拡大したことにより、利用者は従来よりも大きな分子の解析はじめ、様々な実証実験が容易になる。

関電 4月から水素混焼発電 実証実験 万博に電力供給

関西電力(本社:大阪市北区)は3月28日、姫路第2火力発電所(所在地:兵庫県姫路市)で、燃焼しても二酸化炭素(CO2)を排出しない水素を燃料に混ぜて発電する「水素混焼発電」の実証実験を4月から始めると発表した。発電した電力は、同月13日に開幕する大阪・関西万博会場に供給する計画だ。
実証実験では、燃料に使う液化天然ガスの最大30%(体積比)を水素に置き換え燃焼する。90分間発電した場合、30トン程度のCO2削減につながるという。発電能力や設備などへの影響を検証したうえで、2050年までに、水素だけで燃やす「水素専焼」の実現を目指す。

世界初 和歌山 JR初島駅で3Dプリンター使い新しい駅舎

和歌山県有田市のJR初島駅で3月25日、世界で初めて3Dプリンターを使って新しい駅舎が建設された。駅舎は高さ2.6m、広さはおよそ10㎡。屋根や駅など4つのパーツがトラックで運び込まれ、クレーンなどを使って組み立てられた。工事はおよそ6時間で終了した。JR西日本によると、3Dプリンターを使用した駅舎の建設は世界で初めて。
これらのパーツはあらかじめ、セレンディクス(所在地:兵庫県西宮市)が3Dプリンターを使いモルタルで型枠をつくり、内部に鉄筋コンクリートを組み込んだもので、耐震性は鉄筋コンクリート造りの住宅と変わらないという。

JFEなど3社 製鉄由来のCO2から樹脂原料 26年度に実証実験

JFEスチール、三菱ガス化学、三菱ケミカルの3社は3月24日、製鉄所由来の二酸化炭素(CO2)から製造したメタノールを樹脂原料として使う実証実験を2026年度に始めると発表した。3社の生産拠点が隣接する水島コンビナート(所在地:岡山県倉敷市)で、空気中へのCO2排出を減らし、メタノールの効率的製造方法などを検証する。
JFEスチールが製造過程で発生したCO2を含む副生ガスをパイプで送り、受け取った三菱ガス化学がメタノールを製造する。これを使って、三菱ケミカルが樹脂原料の一種、プロピレンをつくる。この実証実験を進めるため、三菱ガス化学は年産100トンのメタノール製造設備を新設する。

コスモエネHD, UCDI CO2由来次世代エタノールで共同検討

コスモエネルギーホールディングス(HD)とCO2資源化研究所(以下、UCDI)は3月21日、「UCDI(R)水素菌」を用いて、CO2をエタノールに変換するCarbon dioxide Capture and Utilizetion(以下、CCU)の実現に向けた共同検討に関する契約を締結したと発表した。
食料や植物を原料として生産される食料作物由来のエタノールには、食料との競合や生産効率の限界、土地利用などに課題がある。これらの点を踏まえると、期待されるのが今回の両者の取り組みだ。
UCDI高い増殖技術を有する独自の水素菌「UCDI(R)水素菌」を開発し、CO2と水素を原料にエタノールを生産することができる技術・特許を保有している。この技術により、食料を原料としないエタノールの大量生産が可能となり、CO2排出量の削減とバイオ燃料製造の両立が期待される。

水素で動く自販機 コカ・コーラ, 富士電機が共同開発 世界初

コカ・コーラボトラーズジャパンは3月18日、富士電機と共同開発した水素発電で動く自動販売機を大阪・関西万博の会場(所在地:大阪市此花区)内に設置した。稼働時に二酸化炭素(CO2)を排出しないのが特徴で、水素で動く自販機は世界初という。同日、大屋根リングの下に設置された。
水素で動く自販機は、本体の横に水素カートリッジを18本入れた発電機を備え、水素と酸素を化学反応させ発電する。会期中、富士電機が定期的に水素カートリッジを交換し、水素を充填するという。