「新システム」カテゴリーアーカイブ

国産次世代燃料SAF 5/1関西空港の航空機に初供給 記念式典

使用済みの廃食油などを原料とする航空機の次世代燃料(SAF:Sustainable Avietion Fuel)の製造が4月から大阪府堺市で始まり、この国産SAFが5月1日、初めて関西空港の航空機に供給された。同日、これに先立ち記念式典が開かれた。
製造会社の日揮ホールディングスの秋鹿正敬専務が「ここに国産SAFの実用化を宣言します」とあいさつ。この後、関係者は駐機場に集まり、SAFが使われている中国・上海行き航空機の出発を見送った。
SAFは従来の化石燃料由来のジェット燃料に比べ、二酸化炭素(CO2)の排出量が80%前後削減される次世代航空燃料。堺市の同施設では年間3万キロリットル生産される計画。政府は脱炭素社会の実現に向け、SAFを巡っては2030年時点の国内航空会社が使う燃料の10%をSAFとする目標を掲げている。

川崎重工 新水産システムでトラウトサーモンの養殖に成功

川崎重工(本社:神戸市中央区)は4月24日、2025年1月から神戸工場海域で進めていたトラウトサーモン育成試験の水揚げを同日行い、およそ850尾(1尾あたり平均2kgサイズ)の飼育に成功したと発表した。これは同社が開発した、食料安全保障への貢献を目指した持続可能な水産養殖システムに基づく「MINATOMAE」プロジェクトの事業化に向けたステップとなるもの。
30㎥の生簀(いけす)で、従来の海面養殖に比べて約4倍にあたる60kg/㎥という、海面養殖としては国内最高レベルの飼育密度を達成するとともに、高品質なトラウトサーモンの飼育を実現したとしている。
今回開発したシステムには、同社がプラント開発と、船舶および舶用機器、鉄道車両開発などで培ってきた水処理技術や流体制御のノウハウなどを活用した閉鎖式海面養殖技術を採用。外部からの寄生虫やウイルスの侵入を防ぐとともに、海水の水質や飼育環境を常時モニタリングし、栄養や酸素供給の最適化と生簀内の水量をコントロールしている結果、可能になったとしている。

NTT 世界初 ドローン「空飛ぶ避雷針」実証実験に成功

NTTは4月18日、世界で初めてドローンを雷雲に向けて飛ばし、落雷させて地上への被害をなくす「空飛ぶ避雷針」の実証実験に成功したと発表した。市販の大型ドローン(2.3m四方、重さ10kg)を改造し、空に向けて5本の金属製ポールを取り付けて雷が落ちやすくした。
実験は2024年12月、標高900mの島根県浜田市の山間部で行った。安全な建物内からドローンを目視で操作し、雷雲が接近したタイミングで高度300mまで上昇させ、機体から延ばした金属製ワイヤを地面に接地。ドローンが避雷針の役割を果たし、雷が直撃した。強い電流がドローン本体に流れないように、機体の周りはアルミ線で囲われており、落雷後も安定飛行を続けて無事に着地。一般的な雷の約5倍に相当する150㌔・㌂の電流を受けても故障や誤作動を起こさないことも確認した。
同社は「空飛ぶ避雷針」として2030年ごろの実用化を目指す。避雷針の設置が難しい屋外のイベント会場や風力発電用の風車などでの活用を想定する。

ENEOS, 自動車5社 万博会場運行に合成燃料使用車両を提供

ENEOS、スズキ、SUBARU、ダイハツ工業、トヨタ自動車、マツダの6社は4月11日、大阪・関西万博開催期間中、来賓・関係者向け車両の会場内運行で、合成燃料を混合した燃料使用の乗用車を提供すると発表した。
合成燃料は再生可能エネルギー由来の水素とCO2を原料としており、製品ライフサイクル全体においてCO2排出量を抑えることのできるクリーンな燃料だ。液体燃料の合成燃料は既存インフラで活用できるため、内燃機関のCO2排出量削減のも貢献することができる。

エア・ウォーター 4月から札幌市内で水素ステーション稼働

産業ガス大手のエア・ウォーターは3月25日、4月から札幌市内で水素ステーションの営業を本格的に始めると発表した。北海道苫小牧市で製造した化石燃料由来の「グレー水素」を水素ステーションに供給する。バスやトラックなど商用の大型燃料電池車(FCV)にも水素を充填できる定置式水素ステーションは道内では初めて。
FCバスは1日あたり14台、一般的な乗用車では同70台に水素を充填可能という。ただ現在、札幌市内にはFCVが30台程度で、1日あたりの利用は2〜3台にとどまるとみている。

大東建託 24年末でZEH賃貸住宅の累計契約戸数10万戸突破

大東建託(本社:東京都港区)は2月10日、2024年末現在でZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)賃貸住宅の累計契約戸数で10万戸を突破したと発表した。ZEHは、住まいの断熱性・省エネ性能を上げつつ、太陽光発電などでエネルギーを創ることにより、建物で消費する年間の一次消費エネルギー量の収支を「プラスマイナスゼロにする住宅。
同社のZEH賃貸住宅は2024年末の完成戸数で54,102戸となり、2025年度中には供給戸数で10万戸に到達する見込み。さらに2030年にはZEH賃貸旧宅の累計契約戸数40万戸を目指す。

東京建物 日本初「ZEH-M」分譲マンション電気代実質ゼロ

東京建物(本社:東京都中央区)は2月10日、日本初の「ZEH-M」分譲マンション「Brillia深沢八丁目」(所在地:東京都世田谷区、全38戸)を竣工したと発表した。同マンションは一次エネルギー消費量削減率に応じて分けられている4ランクのうち、ZEH-M(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス・マンション)シリーズ最高ランクの「ZEH-M」基準に適合する物件。高い断熱性能と屋上全面に設置した太陽光パネルで住棟全体の一次エネルギー消費量を101%削減できる、電気代が実質ゼロとなるマンション。

ニプロ 連結子会社が人工股関節インプラント販売開始

ニプロ(本社:大阪府摂津市)は1月31日、連結子会社のネクスメッドインターナショナル(本社:千葉市)が2月1日より、整形外科領域の治療に用いる人工股関節システム「NexMed人工股関節システム」の販売を開始すると発表した。これは主に変形性股関節等の治療の際に体内へ埋植するインプラント。変形性股関節症とは、加齢や遺伝などが原因で股関節の軟骨がすり減り、痛みや機能障害を引き起こす病気。
同製品は、インプラント表面に生体親和性の高いチタンコーティングに加え、骨の成分、リン酸カルシウムの一種、ハイドロキシアパタイトのコーティングを採用。軟骨の代わりとなるポリエチレンライナーにはガンマー線による架橋処理と、ビタミンE添加型高架橋材を採用。大腿骨頭にはジルコニア強化型のアルミナセラミックヘッドを採用するなど様々な工夫を施している。

助手席の小型ロボが高齢ドライバーの運転支援 実証実験

高齢ドライバーの事故防止に向け、車の助手席に取り付けた小型ロボットがドライバーに一時停止やスピードの出しすぎなどの注意を促すシステムの実証実験が1月23日、大阪・八尾市で行われた。
この実証実験は、ロボットにGPSの位置情報などを分析して運転支援を行うスマートフォンアプリを連携させたもので、高齢ドライバーの運転を評価、支援する。実験には名古屋大学、住友商事、シャープなどが参加した。大学や企業では、このシステムの実証実験を続けたうえで、2026年度の実用化を目指したいとしている。

トヨタ モビリティ企業へ「ウーブン・シティ」今秋始動

トヨタ自動車の豊田章男会長は1月6日(米国時間)、静岡県裾野市で建設中の「ウーブン・シティ」を2025年秋にも始動すると発表した。同シティの一部に人が入居し、自動運転車やロボット、人工知能(AI)など様々な次世代技術を試す実証実験を実施する。
自動車メーカーの競争軸がこれまでの製造・販売から、多様なソフトウェア・サービスに広がっており、これらを網羅する”モビリティカンパニー”になれるか、の試金石になるとみられる。